天の川

研究テーマ

A. 生命の起源

 生命は約38億年前、原始海洋で誕生したと考えられています。
生命の誕生に至る物質進化の場として、原始大気、宇宙空間、および原始海洋をモデルとした実験を行い、どのような条件下で、どのような分子や生化学的機能が生成可能かを検証しています。

 

a) 模擬原始環境実験による生体関連分子の合成とその分析

 模擬原始地球大気に種々のエネルギー(放射線・紫外線・放電など)を与え、その生成物を質量分析法・クロマトグラフ法などにより分析することにより、アミノ酸や核酸塩基・糖などの生体有機物の無生物的な生成機構について考察を進めています。
 原始地球のモデルとして注目されているタイタン(土星の衛星)での化学進化を調べるため、模擬タイタン大気(窒素+メタン)に種々のエネルギーを加えた時の反応生成物の解析も行っています。さらに、生命誕生の場として注目されている海底熱水系を模した実験装置(超臨界水フローリアクター)を用い、アミノ酸などの有機物の生成とその変成を調べています。

b) 模擬宇宙環境実験による有機物の合成とその分析

紫外線

 彗星や隕石に含まれる有機物は地球生命の起源に重要な役割を果たしたと考えられます。これらの有機物の生成の場は、星間雲中の星間塵です。星間塵を模した氷に紫外線や陽子線、重粒子線を照射し、宇宙空間での有機物の生成の可能性を考察しています。
 宇宙有機物は、アミノ酸などの生体分子の不斉の原因となった可能性が指摘されています。この仮説を検証するため、「模擬星間有機物」に円偏光紫外線を照射し、HPLCやGC/MS、円二色性(CD)スペクトルなどにより生成物のキラリティーを解析しています。また、生成物分析へのFT-IR、質量分析法やX線分光法(XANES)の適用も試みています。
また、隕石母天体である小惑星も重要な有機物形成の場です。母天体での水質変成過程でどのような有機物が形成されたのかを模擬実験により調べています。

c) 地球外物質中の有機物分析

隕石

 地球外物質、特に炭素質コンドライトと呼ばれる隕石には、様々な有機物が含まれています。このような隕石中の微量なアミノ酸の分析法の開発や分析を行っています。
 また、隕石に最も多く含まれているのが、不溶性有機物と呼ばれる複雑な高分子有機物です。これらは隕石母天体である小惑星で受けた水質変成や熱変成を反映した様々な分子構造をもっています。FT-IR、X線分光法(XANES)、質量分析法などを用いて、これらの有機
物がどのように形成され、進化したのかを調べています。

たんぽぽ
さらに国際宇宙ステーションを用いた宇宙塵の捕集と分析(たんぽぽ計画)も実施予定です。

研究テーマ

B. 生命の分布

d) 地球および地球圏外極限環境下での微生物活動検出法の研究

 地下の岩石や高温の熱水、高層大気中にも微生物活動が検出され、地球生物圏は、従来考えられていたよりも広範な広がりを示すことがわかってきました。しかし、生物圏の広がりを調べるための分析手法は確立されていません。本研究室では、アミノ酸およびその D/L比、および酵素活性に着目した地球および地球外での微生物活動解析法を研究しています。
 これらの新しい手法を、南極の土壌や氷、海底熱水系地下の岩石、砂漠土壌などの極限環境試料に適用し、新奇の生物圏の検出を試みています。さらにこれらの結果をもとに将来の火星などの地球外での生命探査法を検討しています。

方針

宇宙

1) 大学院へ

 卒業研究で手法を学び、その手法を修士課程以降でアストロバイオロジーの諸テーマに適用するケースが多くあります。その意味からも、大学院への進学を奨励しています。

2) 就職

 修士課程修了者は研究室で習得した分析技術等を生かしてトヨタ・日産自動車・サントリー・旭硝子・三菱樹脂・協和発酵・新日本石油等の様々な企業に就職しています。
 博士課程修了者(現在12名)は、東京理科大学・海洋研究開発機構・アジレントなど、様々な分野で活躍しています。

3) 他機関との共同研究や交流

 研究の性格上、他機関の大型設備の利用や、国内外の様々な研究室との共同研究の機会が多くなります。実験が好きで、好奇心旺盛、チャレンジ精神に満ちた人を歓迎します。
 重粒子加速器HIMAC(放射線医学総合研究所)、タンデム加速器(東京工業大学)、放射光照射用シンクロトロン(兵庫県立大学NewSUBARUほか)、二段式軽ガス銃(JAXA宇宙科学研究所)などの大型装置を使う機会も多くあります。
 また、ストラスブール大学(フランス)、メキシコ国立自治大学、NASA(米国)などの国内外の機関との共同研究や交流を進めています。

4) 学会発表

 国内外の学会での発表を積極的に奨励し、毎年50件以上の学会発表を行っています。修士以上の学生は必ず年1件以上の口頭発表をすることになります。また、さまざまな研究会への参加も奨励されます。自分から積極的に新たな分野の勉強をしてほしいと思います。

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